ニックが始めて日本に現われたのは、'93年の彼がまだ20代を少しすぎたころのことだった。 大バコのディスコだけがはやっていた東京の常識をくつがえすために彼は登場した。ガレージや ウェアハウスパーティーが全盛だったロンドンから、同時性を求めてやって来たアンダーグラウンド パーティーLife Forceのメインマンとしてターンテーブルの前に立った彼を、遠巻きにしていた人々はすぐに 彼を受け入れダンスフロアに飛び込み、そして踊ることに夢中になっていった。幻想的なライフフォースの 空間にスピンを与えたのは、ニックだった。スタイラスはグルーブをはずれることなく、Deep House, Acid House, Detroit, Chicago, Techno, Afro, Latin, Jazz, Soulful Discoと次々にくり出される レアグルーブは、高名なレコードディーラーである彼の目前を通り過ぎる広大な音楽の河を彷彿とさせる。 (実は彼はヒップホップの巨大ストックを持っている)ニックのテイストとミックスは進化し続けた。 短い同期でロンドン-東京の往復を繰り返す彼を、東京のレジデントと思い込む人もあったほどだ。 この15年の間、彼は東京を飽きさせることは一度も無かった。 現在の、あるいは10年前の彼の音を熟知する人に、15年前の録音をきかせてニックであることを判る人はまずいない。 ニックの音の選択は、東京にいつも最新のインフォメーションをもたらし続けた。これからも、 近未来の音楽の方向を示し続けてくれるに違いない。